講談社選書メチエ 653
日本論 文字と言葉がつくった国/石川九楊【1000円以上送料無料】
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総合評価
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世界にも希な漢字仮名交じり文という表記法を有し、その下で文化を発展させてきた日本人の意識構造を変えることはできるのか。
少なくとも、日本人がいかなる存在であるかを認識することはできるはず。
この世に日本語と呼べるようなひとつの言語がまずあって、その外側に、これを表記する道具としての文字として、漢字があり、ひらがながあり、カタカナがある——といった考えかた。
これが大まちがいだと著者は言います。
それでは、ほんとうはどうだったか。
「日本語」というのはなかった。
実際にあるのは、漢字語とひらがな語とカタカナ語。
三つの言葉があって、これらが入り混じった言語をわれわれは、大まかに日本語と呼んでいるにすぎない。
こう考えれば、漢字語がなくならないかぎり漢字はなくなることはなく、ひらがな語がなくならないかぎりひらがなはなくならない。
カタカナ語がなくならないかぎりカタカナはなくならない。
だから漢字も、ひらがなも、カタカナも、そのまま生きつづけて現在にいたっている。
そのしくみがよくわかるはずだというのです。
「日本語」があって、それを漢字・ひらがな・カタカナで「書く」ということと、「日本語」はなく、あるのは漢字語とひらがな語とカタカナ語、この混合物を「日本語」と呼んでいる、というふうに考えることとの違い、この飛躍はなかなかむずかしい。
同じことではないかと一般には考えられてしまいそうですが、ほんとうに、なるほどわかったというふうに腑に落ちると、ものを見る見かたがガラッと変わって、いろんなものが今までと違うかたちで見えてきます。
世界にも希な漢字仮名交じり文という表記法を有し、その下で文化を発展させてきたわれわれの意識構造には何が刻みこまれているのか、変えることはできるのか……。
少なくとも、われわれがいかなる存在であるかを認識することはできるはず。
「文字と言葉」という観点から和辻哲郎『風土』、九鬼周造『「いき」の構造』、新渡戸稲造『武士道』、鈴木大拙『日本的霊性』、土居健郎『[「甘え」の構造』、ベネディクト『菊と刀』、中根千枝『タテ社会の人間関係』などの日本文化論の名著といわれる書物を読みなおすとき、思いがけない「この国のかたち」が見えてきます。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
目次第1章 国語と文字—誤解された日本語/第2章 二重構造と雑種性—日本語という混合種/第3章 分かち書きが示すもの—日本語のかたち/第4章 花鳥風月と女手—ひらがな語・新しい表現領域の開拓/第5章 武士道と禅—漢語的文明の変質/第6章 恥と甘えと天皇制—この国のかたち
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