【中古】 Mravinsky In Moscow: Mravinsky / Leningrad Po (1965, 1972) 【CD】
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総合評価
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)ムラヴィンスキー・イン・モスクワ(7CD)1965&72年モスクワ音楽院大ホール・ライヴスクリベンダムのベストセラーお買得ボックス音質・演奏の両面でムラヴィンスキーを代表する超名演が揃っていると高く評価されるモスクワでのライヴ録音を集めた1965年セットと、1972年セットは、共にHMVではベストセラーとなっていましたが、今回、両者をまとめた7枚組のお買得ボックスが登場することになりました。
【恵まれたモスクワ】旧ソ連では、首都モスクワと他の都市では録音機器など設備面で大きな差が付けられており、早くからステレオ化されていたモスクワに対して、たとえばレニングラードは1970年代になるまでまともなステレオでの録音ができないというような状態でした。
そうした事情をもろに象徴するのがこれらモスクワ録音の数々で、首都への遠征ということで気合いも十分な名演が、当時ソ連の最高の技術で録音されているのが何よりの朗報。
西側でも1965年頃のライヴ録音でこれだけのクオリティのものはほとんど無いことを考えると、このコンビ本来の鍛え抜かれた対向配置サウンドが、こうした良質なステレオ録音で残されたのはほとんど奇跡的な出来事ではないかとさえ思えてきます。
【入念なリマスター】そうした幸運な背景を持つこれらの録音ですが、さすがに経年変化は勝てず、マスターにも多少の劣化がみられるようになったということで、スクリベンダム・レーベルではアビーロードスタジオでのリマスターを実施、エンジニアのイアン・ジョーンズによる丁寧なリマスターを経て、歴史的な名演が鮮烈なサウンドで蘇ることになっていました。
なお、今回のセットの装丁は、クラムシェル・ボックス仕様で、各ディスクは紙製ケースに収納されています。
(HMV)【収録情報】Disc1● グリンカ:『ルスランとリュドミュラ』序曲 1965年2月26日 エンジニア:ガクリン● ムソルグスキー:モスクワ河の夜明け 1965年2月21日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● リャードフ:バーバ・ヤガー 1965年2月21日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 1965年2月21日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● グラズノフ:『ライモンダ』第三幕への前奏曲 1965年2月21日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ムソルグスキー:モスクワ河の夜明け(別テイク) 1965年2月21日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● リャードフ:バーバ・ヤガー(別テイク) 1965年2月26日 エンジニア:ガクリン● ワーグナー:『ローエングリン』より第三幕への前奏曲 1965年2月● ワーグナー:『ワルキューレ』よりワルキューレの騎行 1965年2月Disc2● モーツァルト:『フィガロの結婚』序曲 1965年2月23日 エンジニア:グロスマン● モーツァルト:交響曲第39番 1965年2月23日 エンジニア:グロスマン● シベリウス:トゥオネラの白鳥 1965年2月23日 エンジニア:グロスマン● シベリウス:交響曲第7番 1965年2月23日 エンジニア:グロスマン● ワーグナー:『ローエングリン』より第三幕への前奏曲(別テイク) 1965年2月23日 エンジニア:グロスマン● ワーグナー:『ワルキューレ』よりワルキューレの騎行(別テイク) 1965年2月23日 エンジニア:グロスマンDisc3● ヒンデミット:交響曲『世界の調和』 1965年2月26日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ミューズを司るアポロ』 1965年2月26日 エンジニア:ヴェプリンツェフDisc4● ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 1965年2月28日 エンジニア:ガクリン● バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 1965年2月28日 エンジニア:ガクリン● オネゲル:交響曲第3番『典礼風』 1965年2月28日 エンジニア:ガクリンDisc5● チャイコフスキー:幻想序曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』 OP.32 1972年1月27日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● チャイコフスキー:交響曲第5番 OP.54 1972年1月30日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ワーグナー:『神々のたそがれ』〜「ジークフリートの葬送行進曲」 1972年1月26日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ワーグナー:『ワルキューレ』〜「ワルキューレの騎行」 1972年1月26日 エンジニア:ヴェプリンツェフDisc6● ワーグナー:『タンホイザー』〜「ヴェヌスベルクの音楽」 1972年1月27日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ブラームス:交響曲第3番 OP.90 1972年1月27日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 OP.54 1972年1月27日 エンジニア:ヴェプリンツェフDisc7● ベートーヴェン:交響曲第4番 OP.60 1972年1月29日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ベートーヴェン:交響曲第5番 OP.67『運命』 1972年1月29日 エンジニア:ヴェプリンツェフ● ワーグナー:『神々のたそがれ』〜「ジークフリートのラインへの旅」 1972年1月26日 エンジニア:ヴェプリンツェフ レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)【許光俊の言いたい放題第18回】「驚天動地のムラヴィンスキー!」 今度発売されるムラヴィンスキー・セットのサンプルを聴いてひっくり返らんばかりに驚いた。
今のところ私が聴いたのは1965年の演奏だけだが、これはたいへんなことになったと思った。
いずれも、かねてから知られていたお得意のレパートリーである。
それどころか、既出の演奏の再発売がほとんどである。
しかし、音質が信じられないほどよいのだ。
とても同じ演奏とは思えないほどなのだ。
細部が手に取るようにわかる。
客席のノイズや雰囲気もクリア。
まるで伝説のレニングラード・フィルをステージ間近で聴いているかのようだ。
音質を向上させての再発売は昨今引きも切らないが、これほどまでに目覚ましい差違を示した例も珍しいに違いない。
美女の身を隠していたヴェールがすべて剥ぎ取られたかのようだと言っても過言ではない。
ソ連の録音水準は本来こんなに高かったのである。
黙って聴かされたら、誰ひとりとして1960年代のソ連録音とは当てられないはずだ。
とんでもない原テープが眠っていたものである。
ここまで言ってもまだ疑う人は、おそらくあちこちの店頭で流されるだろうから、そちらで確認していただきたい。
私は、音質がよくなったからと言って同じ演奏をいちいち買い換えるのはバカげていると感じるが、このセットはその価値がある。
というより、この音質で聴かねばならないと思う。
私は、この前出版した『生きていくためのクラシック』という本の中で、ムラヴィンスキーのCDとしてはアルトゥスのものばかりを紹介した。
ムラヴィンスキーの音楽が持つ唯一無二の特性が間違いなく伝わるという点で、もっとも確実だと考えたからだ。
今回の4枚は、それらに比肩する。
アルトゥスのものは響きの全体像の凄まじさで迫る俯瞰図だが、今回のは細かな楽器が鮮明を極める接写だ。
よって、音楽全体がふわっと軽くなったり、がらりと音色を変えたりという点ではアルトゥスのほうが圧倒的に分がある。
が、ムラヴィンスキーがこだわり抜いた細部を正確に聴くという点では、今回のが断然よい。
従って、どちらか一方ではなく、絶対に両方聴くべきなのだ。
そのとき、この超個性的な音楽家の仕事がどういうものであったか、いっそうはっきりするだろう。
鍛えに鍛えたオーケストラの力業は、世界一と言い切ってもよい。
カラヤンやショルティが技術を大衆を籠絡するために用いたのとは対照的に、ムラヴィンスキーは大胆にして繊細の極致をゆく。
そのスリルには胸の鼓動を抑えかね、結局、1日で4枚をぶっつづけに聴いてしまうはめになった。
リャードフの「バーバ・ヤガー」のカミソリのような切れ味。
グロテスク。
「ライモンダ」冒頭の激烈な一撃。
火柱のような高揚。
「ローエングリン」における火花の炸裂。
いずれも最初の数秒で打ちのめされる。
モーツァルト交響曲第39番メヌエット楽章の威厳。
「トゥオネラの白鳥」の氷のような弦楽器。
「弦打楽器とチェレスタのための音楽」の立体感。
激流のような音のぶつかりあい。
「典礼風」の酷薄と残虐。
「世界の調和」の電撃的な音響世界。
終結の圧倒的エクスタシー。
いかなる感傷も捨て去って物理的な音の運動に賭けたショスタコーヴィチ。
これらを聴けば、昔ムラヴィンスキーの生を聴いた人たちが、イチコロでやられてしまった訳がよくわかる。
そして、やられなかった人たちが敬遠して遠ざかってしまった訳がよくわかる。
かくも強烈な音楽には、無条件に征服されてしまうか、拒絶して遠ざかるか、ふたつにひとつしか対応の方法が残されていないのではないか。
【連載 許光俊の言いたい放題 第24回】「無類の音響に翻弄される被征服感〜ムラヴィンスキー1972年ライヴ」 音質が向上している点についてはくどくど言わなくてもいいだろう。
結果として、今まで以上に、ムラヴィンスキー指揮するレニングラード・フィルがまきちらす無類の音響に翻弄される被征服感を楽しめる。
今度のアルバムで一番気に入ったのは、ワーグナー「タンホイザー」から抜いてきたヴェーヌスベルクの音楽。
これはすごいぞ。
青年中年大喜びの官能的ネットリ演奏ではないが、思いの外弦楽器が柔らかい響きを出している。
レニングラード・フィルはこんなふわふわした音も出せたのだ。
まるでドビュッシーみたいな絶妙の弱音は陶酔的。
かと思いきや、切れ味抜群の、渦巻く音響の乱舞も登場する。
硬軟両極端をきわめた音楽に恍惚とする13分だ。
これは危ない。
こんなものを知ったら、聴くものがなくなっちゃう。
「ジークフリートの葬送行進曲」ではまさに心臓をえぐるような低弦が聴けるし、ソヴィエトならではのワイルドなトランペットも脳天をつんざく。
「ラインへの旅」で次々に音が沸騰していくような、あるいはグイグイ力ずくで迫ってくるような様子も壮観だ。
とはいえ感情的には全然ウェットじゃないのはいつも通りだ。
ベートーヴェンの交響曲第4番は、アルトゥスから出ている日本ライヴだってもちろん悪くないけれど、私はこちらのほうが好きである。
もっとシャープで、張りつめている。
それより驚きは第5番のフィナーレ。
音がぐんとよくなって、印象が変わった。
音楽が火の玉になって飛んでくる。
ものすごい力強さで疾駆する。
他の誰とも違う演奏だ。
ソナタ形式の論理性ではなくて、音の塊自体で圧倒するような演奏。
この温度の高さは異常。
チャイコフスキーの「フランチェスカ・ダ・リミニ」はムラヴィンスキーがすごすぎて、他の演奏家で聴く気がしない曲だ。
さすがのスヴェトラーノフ先生も、この曲では足下にも及ばない。
金管楽器も打楽器も、もはやサディスティックとまで言いたくなる衝撃力。
それとともに得体の知れぬ不気味さが怖い。
平林直哉「スクリベンダムのムラヴィンスキー(1965)について」…
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